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「…………! 千波さん……!?」
ギョッとした陸は慌てて千波の目の前に屈み込む。
「大丈夫ですか?」
心配げに顔を覗き込まれ、千波はふらりと陸の顔を見上げた。
久々にこんなに近くで顔を見て、千波の目に大粒の涙が盛り上がった。
「………なんで……」
「…………え?」
「なんでいきなりプロポーズなんですか~~」
気の抜けたような千波の声を耳にし、全く予想外の反応を返された陸は目を丸くした。
思わず砂の上に正座になる。
「あ、いや、その、もちろんすぐに結婚という訳ではなくてですね。……その……結婚を視野に入れてお付き合いしていただけたら、と。……そういう意味のプロポーズで……」
「………………」
千波はジッと涙の溜まった目で陸の顔に見入る。
嬉しさよりも驚きのほうが大きくて、まだこれは夢なのではないかと疑っている自分がいた。
「………ずっと。……ずっと待ってました」
「…………………」
「プロポーズじゃなくて、好きっていう言葉を」
ハッと陸は目を見張る。
「好きって全然言ってくれへんかったから、私ずっと不安やったんです」
「────言いましたよ。一度だけ」
ボソッと呟いた陸の言葉に、千波は驚きグッと身を乗り出した。
「嘘っ! いつですか!?」
「………え。……いつ…って……」
途端に陸は顔を真っ赤にし、口元を押さえて千波から目を逸らしてしまった。
千波はキョトンと首を傾げる。
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