エピローグ

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片膝を抱えて浜辺に座り、ぼんやりと海を眺めていたその姿が妙に印象的で。 いつからか、気まぐれにふらっと現れるその人を心待ちにするようになっていた。 その時はまだ淡い憧れのようなもので、お互い心の中には別の人がいて。 その後いろんな偶然が重なって、陸との距離が縮まっていくなかでどんどん陸に向かっていく気持ちを、止めることができなくなってしまっていた。 お互いに結婚適齢期で、恋の失敗を胸に抱えて臆病になって、なかなか上手く次に踏み込めなくて、空回りばかりして、想いだけがただ膨れ上がって。 結果大きくなりすぎた気持ちと、拭えきれないしがらみのはざまで立ち往生して、順番を間違えて。 二人の心が交わるまでに、随分と回り道をしてしまった。 けれど今、はっきりとわかる。 陸とこうして出会えたのは、偶然でもなんでもなく必然だったと。 過去の失敗も後悔も、全て陸と結ばれる為に用意されていたことだったのだと。 今は確かに、そう感じることができた。  
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