摂氏100℃の微熱 2

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「────私を、東京へ連れていってください!!」 気が付くと、千波は陸に向かってそう叫んでいた。 言い終わると同時に、じわっと目尻に涙が浮かぶ。 陸は唖然としたように目を見張り、そのまま千波の顔を凝視した。 「……………え?」 「突然こんなこと言ってすみません!! 迷惑だってことはわかってます!……でも、……でも……」 言いながら無意識に、千波は陸の両腕に縋り付いていた。 下から真っ直ぐに陸の顔を見上げる。 「でも、陸様と離れたくないんです! ずっと一緒にいたいんです! この島を出ることになっても、私はあなたについて行きたいんです!」 「…………………」 千波が言葉を重ねる度に、陸の目の色が少しずつ変わっていった。 何か言いたげに自分を見下ろす陸を見て、千波は大きく頷いた。 「あの時は寂しかったからなんて言ってしまったけど、あんなの全部嘘です。………好きやから。……陸様のことがどうしようもないぐらい好きやから……。だから私、あの夜一緒にいてほしいって言ったんです」 「………………」 「お願いします。………私を、一緒に東京へ連れていってください」 懸命に。 たどたどしくはあったが、ひたむきに。 千波は今の自分の本当の気持ちを全て陸にぶつけた。 これでもし、陸に拒まれたとしても。 ………もう何も、思い残すことはない。 恥も何もかもかなぐり捨てて。 思いの全てを、ちゃんと陸にぶつけられたから……。  
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