摂氏100℃の微熱 2

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怒りのような、恥ずかしさのような感情がないまぜになり、握った千波の拳がプルプルと震え出す。 「だ、だって、じゃあ…。証さんの会社に行くっていうのは……」 「それは…。その結婚する友人っていうのが、証の父親の秘書をしている人間で、僕も昔から親しくしてて…。 海外で親族だけの結婚式を挙げたんですけど、急遽親しい人間を集めたパーティーを会社でしようってことになったらしくて」 「………………」 「少し前に決まってたらしいんですけど、証が俺に連絡し忘れてたって言って…。で、この前東京に行った時に初めて聞かされたんです」 すっかり涙も止まり、千波は呆然としたまま陸の話を聞いていた。 それでもまだ、激しい混乱から抜け出せなかったが……。 「じ、じゃあ…。仕事押し付けられた…っていうのは……」 「ああ、それは…。当日の司会進行してくれってムリヤリ証に押し付けられたんです。新郎と俺が親しいからって」 「………………」 千波の体からゆっくりと力が抜け落ちていく。 一体全体、何がどうなってここまで話がひん曲がってしまったのか。 あれ程悩み、島を出る決意をして、祖母の前で号泣までしてしまったというのに……。 (み、みどりさん~~~っっ!!) みどり自身誤解していたのか、千波をけしかける為にわざと話を変えたのか、今となってはもうわからないが。 あまりにも激しい勘違いと、もう取り消すことのできない先程の熱い告白を思い出し、千波の頭にカーッと血が上った。  
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