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私の拙い具申に答えたのは、私が処置していた陸軍の少尉さんでした・・・。
名前は今でもはっきりと覚えております。
『光澤 耕作』さんとおっしゃいました・・・。
学徒出身の若い・・・まるで『銀幕スタア』の様な端正なお顔をした、笑顔の素敵な将校さんでございました。
「八原さん、確かに戦争は終わったのです。
しかし敵は戦闘を中止しません。
我々は、現在自衛のため戦闘を継続しています。」
そして、私が巻き終わった包帯を軽く叩くと仰いました。
「私達、軍はお国を守れませんでした・・・。
しかし、まだ非戦闘員である皆さんを守りたいのです。
今、内蒙古には数万人の日本人がいて、故郷へ帰る準備をしています。」
少尉さんは、勇ましく踵を鳴らして気を付けをすると、私達におっしゃいました。
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