八月十五日

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『張家口』についた私達は、患者さんの介護、後送する医薬品の集積、患者さんの後送準備等、寝る暇もないほどでございました。 少尉さんも、前線の陣地に部下を連れて行かれました。 私は、母親から頂いたお守りを少尉さんにお渡ししました。 「有難う・・・でも、このお守りは八原さんにとっても大切な物でしょうから、必ずお返しに上がりますよ。 その時まで、お預かりします。」 少尉さんはそうおっしゃると、『陸軍伍長待遇』の私に向かって、見事な敬礼をされました。 私はただ、ただ・・・頭を下げるのみでございました。 『開拓団』の邦人は、軍が用意した列車に乗って『北京』・・・そして最終の目的地である『天津』へと向かいました。 その数・・・約4万・・・。
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