【第8話】仕事の波と誤解と和解

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  「あ、うまいねこれ。野菜の……どれだろう」 「ラタトゥイユ、ですね。でもホント、美味しい」 「ああ、これか。なるほど」 『前菜の盛り合わせ』と書かれたメニューの詳細を見て納得する神谷さんに、平気なフリをして答えた私。 内心は、ずっと心臓がばくばくしている。 本当ならもっと、パニックになっても仕方ないと思うくらい、だ。 けれど、さっきまでと同じように、神谷さんは至って普通だ。 お酒の席だからだろう、この間飲みに行ったときのように、会話の雰囲気から“取引先”のフィルタを早々に外していることがわかった。 だからこそ、意図がわからない。 .
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