【第8話】仕事の波と誤解と和解

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  「大変だったよね、今回。修正も多いし時間はないし、で」 「あー……そうでしたね。もう記憶もぼんやりですけど」 苦笑いで返すと、神谷さんは片眉を下げて笑った。 「ははは。あんまり引きずらないタイプなんだ?」 「そう、かもしれないです。仕事に関しては」 嘘を吐くことでもないと思ったので、素直に本音を話した。 仕事に関しては、どれだけしんどかった案件でも、過ぎたこととして流せる。 無茶苦茶な要望に翻弄されても、徹夜が続いて疲弊し切った案件だったとしても、だ。 何となく、大変だったなー、キツかったなー、などと思い出すことはあっても、その詳細まで覚えてはいない。 よくいえば、切り替えが早く、悪くいえば覚えが悪い、とでもいえばいいんだろうか。 辛かったこともひっくるめて、過ぎたことだと思える。 あとは私が取り組んだ“仕事”が世に出て、キッチリ形になってくれればいい。 .
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