【第8話】仕事の波と誤解と和解

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  あと少しで、さっき頼んだ赤ワインのボトルが空になる。 次はどうしようかな、そんなことを思いながらワインリストに手を伸ばそうとした瞬間、神谷さんが口を開いた。 「他の案件は、どう?」 「えっ?」 「まだバタバタしてるのかな、と思って」 「そうですね、少し落ち着きました。今日、こんな風に飲みに出れるくらいには」 「はは、そっか。それは良かった」 目尻を下げる神谷さんを見ると、胸がきゅうっと鳴る。 そんなに優しく微笑まれたら、どうしていいかわからない。 ああもう、どうしてこの人、こんなに素敵なんだろう。 ……何とかならないかな、この乙女思考。 そんな風に思っていたら、さらに神谷さんが言葉を続けた。 .
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