0人が本棚に入れています
本棚に追加
「うぜぇ……」
「ユルキ!」
ボソッと呟いたユルキにトゥーッカは厳しい声で制するが、彼は言葉を止めない。
「うぜぇんだよ、お前に誇りはないのか?!守りたいものは?!」
「そんなもの……」
「ないならッ!!」
「ない」そう続く言葉はユルキの半ば怒鳴るような声で遮られた。
「ないなら俺が作ってやるッ!!」
「…え?」
「…明日、音楽室にいる」
まっすぐに言われた言葉にニーナは目を丸くし、トゥーッカはその言葉の意図に気付いたらしくクスッと笑った。
言い終わるとユルキは椅子からスッと立ち上がり、行くぞと何事もなかったかのようにトゥーッカにいい放ち、一人医務室から出ていってしまった。
「では失礼致します、ミス スコット。
あ、風邪を引かれる前にお召し物を変えた方が宜しいかと」
今だ呆然とユルキの出ていった扉を見つめるニーナにトゥーッカは一礼すると、主の後を追って医務室を出ていくのだった。
それからしばらくの間、彼女はその場を動くことは出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!