第1話

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「うぜぇ……」 「ユルキ!」 ボソッと呟いたユルキにトゥーッカは厳しい声で制するが、彼は言葉を止めない。 「うぜぇんだよ、お前に誇りはないのか?!守りたいものは?!」 「そんなもの……」 「ないならッ!!」 「ない」そう続く言葉はユルキの半ば怒鳴るような声で遮られた。 「ないなら俺が作ってやるッ!!」 「…え?」 「…明日、音楽室にいる」 まっすぐに言われた言葉にニーナは目を丸くし、トゥーッカはその言葉の意図に気付いたらしくクスッと笑った。 言い終わるとユルキは椅子からスッと立ち上がり、行くぞと何事もなかったかのようにトゥーッカにいい放ち、一人医務室から出ていってしまった。 「では失礼致します、ミス スコット。 あ、風邪を引かれる前にお召し物を変えた方が宜しいかと」 今だ呆然とユルキの出ていった扉を見つめるニーナにトゥーッカは一礼すると、主の後を追って医務室を出ていくのだった。 それからしばらくの間、彼女はその場を動くことは出来なかった。
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