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次の日。
授業も終わり放課となり帰る仕度をしていた時、ニーナはふと昨日のユルキの言葉を思い出していた。
『……明日音楽室にいる』
「(あれは、音楽室に来いってこと?)」
まぁそれしか考えられないのだけれど……とまとめ終わったバッグを持つ。
思えばあの二人、午後の授業からいなくなっていた。
サボり……だろう。
「(でも、少し寄るだけならいいかも……)」
真っ直ぐな瞳で真っ直ぐに自分を叱ってきたユルキを思いだし、ニーナは頬を緩めた。
久しぶりに自分を見てもらえたような気がしたのだ。
短期で目付きが悪い彼だが、短いがキラキラ光に反射する銀髪と濁りを知らない深い蒼の瞳は素直に綺麗だと思った。
だからだろうか、突然“ウサギさん”だなんて言ってしまったのは。寝ぼけて言ったそれを思いだしコレーは頬を微かに赤らめた。あれは我ながら恥ずかしいと思う。
何時も暴行を繰り返してくる彼女たちは憎々しげに睨んではくるが、今日はまだ何も仕掛けてこない。
おそらく昨日の今日だ。
下手に手を出せないのだろう。触らぬ神になんとやらコレーは素早くバッグを持つとその場を後にした。
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