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不思議と目立つ女生徒がいた。
同じクラスのソイツは綺麗なしかし落ち着いたブロンドとこれまた落ち着いた新緑色の瞳をもっていた。
浮世離れしている、といった感じのソイツはけれど自分から目立つような行動を取ることは全くなかった。
しかし必ずそこにいれば確かな存在感を持ち、何時も伏せがちな瞳からは儚げで何かを諦めているような色が新緑の中で揺らいでいた。
それが俺は嫌いだった。
「うぜぇ……」
「……すみません、ミスター ルース」
「おぉ?!」
ぽつりと呟いた一人言に返ってきた返事に驚き、その目の前を見ると例のソイツ、ニーナ・スコットその人が立っていた。
「失礼します」
「あ、おい……!」
スッと俺の隣をすり抜けるとソイツはそれだけ言い残して去っていった。
「何なんだよ……」
「今のってミス スコットだよね……、どうかしたの?」
何なんだあいつ…、内心ため息をつきたくなっていると背後から声がかかり振り返ると手に数冊の本を持った従者――…否、友人の方が正しいだろう――のトゥーッカ・ラッセ・ペソネンの姿があった。
トゥーッカは俺の顔を見るなり眉間にシワ寄ってるよと指摘した。
「……、別に何にもねーよ」
「そう?あ、そよれよりさ、図書室ついてきて」
「おう」
どうやら今から図書室に本を返しに行くつもりだったようだ。
別に断る理由もない、俺は一つ頷くとそのまま図書室の方へ足を進めるのだった。
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