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図書室につくと各々好きな本を取り出して読み始める。
今日は珍しく人が誰一人とおらず、チクタクと時計の音だけが響いている、はずだった。
「……るせぇ…」
「急にどうしたのさ」
「るせぇっつてんだよトゥーッカ!」
「はぁ…、うるさいのはユルキだよ。
眉間にシワ、あと主語も無い…」
そのトゥーッカの言葉にユルキはうッ…と一つ唸ると素直にすまんと謝る。
トゥーッカは別に気にしていないよと首をふったあと、でも確かに…、とゆったりとした動きで席から立ち上がる。
耳をすまさずとも、隣の部屋から女生徒の笑い声が断続的に聞こえてきていた。
「隣ってただの倉庫のはずだよね?」
「あぁ」
トゥーッカはユルキの返事を聞くと、思案するように顎のしたに手を持っていく。
「まさか、ね……」
「何がだよ」
「ミス スコットのことだよ」
「意味わかんねぇ」
「え、まさかユルキ知らないの?」
「……悪いかよ」
自分ばっかりわかりやがってと毒づくとケラケラ笑いながらトゥーッカは謝る。
勿論彼に謝る気はないだろう。
「彼女、苛められてるらしいんだ」
「それは……」
「噂だけどさ、人によっては彼女が苛めてるって言う人もいるし……」
トゥーッカは急に真剣な表情になり、ユルキも吊られて真剣な表情にし、そして彼の言葉にまた眉間にシワを寄せる。
ガタッ、ユルキは本をそのままに立ち上がる。
「とにかく見に行くぞ、話はそれからだ」
「了解」
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