第1話

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図書室につくと各々好きな本を取り出して読み始める。 今日は珍しく人が誰一人とおらず、チクタクと時計の音だけが響いている、はずだった。 「……るせぇ…」 「急にどうしたのさ」 「るせぇっつてんだよトゥーッカ!」 「はぁ…、うるさいのはユルキだよ。 眉間にシワ、あと主語も無い…」 そのトゥーッカの言葉にユルキはうッ…と一つ唸ると素直にすまんと謝る。 トゥーッカは別に気にしていないよと首をふったあと、でも確かに…、とゆったりとした動きで席から立ち上がる。 耳をすまさずとも、隣の部屋から女生徒の笑い声が断続的に聞こえてきていた。 「隣ってただの倉庫のはずだよね?」 「あぁ」 トゥーッカはユルキの返事を聞くと、思案するように顎のしたに手を持っていく。 「まさか、ね……」 「何がだよ」 「ミス スコットのことだよ」 「意味わかんねぇ」 「え、まさかユルキ知らないの?」 「……悪いかよ」 自分ばっかりわかりやがってと毒づくとケラケラ笑いながらトゥーッカは謝る。 勿論彼に謝る気はないだろう。 「彼女、苛められてるらしいんだ」 「それは……」 「噂だけどさ、人によっては彼女が苛めてるって言う人もいるし……」 トゥーッカは急に真剣な表情になり、ユルキも吊られて真剣な表情にし、そして彼の言葉にまた眉間にシワを寄せる。 ガタッ、ユルキは本をそのままに立ち上がる。 「とにかく見に行くぞ、話はそれからだ」 「了解」
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