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「…――と、一応これでよし」
生憎と言うべきか幸いと言うべきか、医務室に先生の姿はなく代わりにトゥーッカが救急箱を持ち出してきてニーナに手当てを施した。
トゥーッカは救急箱に使い終わった包帯を直しながら、ユルキに笑いかける。
「多分、これで大丈夫だと思うよ、本当は服も変えたいんだけど、さすがにね…」
「ばッ!おまッ、何いってッ…!?」
「服濡れてたら風邪引くでしょ?……あ――はいはい、ユルキは純情ボーイだったねごめんね」
「棒読みじゃねーかッ!」
トゥーッカは顔を真っ赤にして怒鳴るユルキを軽くあしらいながらあいつら、なんでわざわざ水までかけたのかなぁと憎々しげに呟く。
そしてニーナの腕を見ると、真剣な表情になる。
「…ミス スコットは普段平気な顔してたけど、ずっと暴行受けていたみたいだね…」
「あぁ」
ユルキは真新しい包帯が痛々しげに巻かれている腕を見、不機嫌丸出しに眉間にシワを寄せる。
その包帯の下には今日出来たであろう痣から、治りかけの古い傷まで数えきれないほどの傷があった。
おそらく服の下には更に多くの傷があるのだろう。
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