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「俺だったら……」
「うん?」
絶対にただじゃやられないのに、と続く言葉は一先ず飲み込んだ。
ただじゃやられないのに、と言うよりも、何かしらのアクションをして倍返しにするだろうと思う。
彼女は女性であるから暴力は出来ないだろうが、口で反抗したり上手く他にそれらを流すことも出来ただろう。
イラつく……、心の中でそう呟いた。
「…ッ」
「!ミス スコット、お加減はいかがでしょう?」
小さな呻き声を聞くと、トゥーッカは今までの態度は何だったんだと思うくらいにユルキに対する態度とは似ても似つかない、従者らしい口調で話しかける。
しかしまだ意識がはっきりしていないらしいコレーは視線をゆるゆるとさ迷わせると、ユルキを視線に止めた。
「う、さぎ、さん?」
「あ?」
しばらくの間が広がった。
「…プッ!」
それを破ったのはトゥーッカの吹き出す声だった。
「あっはははッ!ちょっと、え?ユルキがうさぎ?!こんな目付き悪いうさぎがいるのなら見てみたいよッ!」
「だ、黙れトゥーッカッ!笑うなッ!!」
「アハハぁいたッ!プッ!」
ひぃひぃ腹を抱えて笑うトゥーッカも珍しいがそんなことを考える暇もないくらい、羞恥やら怒りやら何やらでユルキの顔は真っ赤である。
それを最初こそぼんやりと聞き流していたニーナだったが、ハッと意識がはっきりしてくると顔が真っ赤になり、そしてすぐ真っ青になる。
「す、すみませんッ!!~~ッたぁ?!」
「あぁ?!たりめーだろ、動いてんじゃねぇッ!!」
「す、すみません!!」
それからしばらくは片や大笑い、片やオロオロ謝り続けるの板挟みにされユルキの医務室には相応しくない怒声が轟くのだった。
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