第二章 ー 仮面の始まり 一節 ― アスファルト

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 初めて歩く道だった… その道は何の手入れもされていないのか酷く荒れていた。 その時俺は酷い嫌悪感を感じた…  俺は前からアスファルトの道が嫌いだった。道が嫌いだなんて普通の人は思わないだろう… だが、俺はアスファルトが昔の俺の心に似ている気がして嫌いだった…  日の光に照らされれば熱くなり、雨が降れば冷たくなる。しかも簡単に。 俺の心も昔は小さな出来事ですぐ熱くなり、そして冷たくなった。  そして、この道は今の俺の心に似ている…  ころころと変わる温度差に頑丈に見えたそれは簡単にひび割れ、通り行く車や通行人に踏みにじられ砕け、余りにも歩きずらくなったそれに近づく者すら居なくなった… だから俺は… 俺は…この道に嫌悪感と共に親近感を持ったんだ…
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