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「……それは、ごめん」
素直に謝ると、長瀬の手が伸びてきた。
私の頭をがしっと掴んで、軽く揺すってくる。
不思議と、逃げる気は起こらなかった。
なされるがままの私に、長瀬の声が降ってくる。
「だな。俺を待たせるとはいい度胸だ」
「えっ、待ってたの!?」
「待つわけねーだろ、バカ」
驚きの声をあげた私に、しれっと答えた長瀬。
……せっかく人がしおらしく、下手に出てるってのに、この男は。
思わず一番近くにあった長瀬の肩を軽く叩いた。
ばしっ、と軽い音がして、少し気が晴れた。
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