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「え、えーっと……」
「正直に言えよ? 嘘なんてすぐバレんだからな」
「っ、う、嘘なんか……」
「さっきついたばっかだろ、馬鹿」
「っ」
反論の余地はない。
家に帰ったという嘘は、瞬殺と言っていい程のスピードで見破られたのだから。
私は覚悟を決めて、口を開いた。
「……学生のときの、友達と、飲んでた。突然連絡来たから、すぐ合流して」
「へえ。どこで?」
「駅前、のあたり」
「ふうん?」
大丈夫、大丈夫。
私の友達関係まで、長瀬は把握していない。
突然呼び出されるような友達がいるって、それ自体は嘘じゃない、し。
ああもう、心臓に悪い。
こんな拷問みたいな時間、早く終わってくれないかな。
そんなことを考えていたら、長瀬が言った。
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