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「な、何のこと……?」
すっとぼけて、やり過ごそう。
それが、私が必死に絞り出した答えだった。
何とかこの危機的状況を回避しようという、私の精一杯の抵抗だ。
一瞬、きょとんとした顔をした長瀬だったが、すぐにその顔は元に戻っていく。
その表情が……私の企みは完全に失敗したということを伝えている。
敵はそんなことで誤摩化されてくれる程、甘くはなかった、ということか。
次の一手が見つからないまま、あちこちに視線を泳がせる私に、長瀬は笑った。
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