【第9話】隠し事ごとは、できません

20/30

2992人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
  「ちょ、長瀬……っ!」 必死に肩を押して、顔を上げさせる。 蛍光灯から逆光になっている長瀬の顔は、妖しく歪んでいた。 ……この顔は、まずい。 こんな風に危険を察知するのは、いったい何度目になるんだろう。 息を呑む私に、長瀬は微笑んだ。 「ミオ」 「っ……」 こうやって、名字じゃなくて名前を呼ぶ時の長瀬は。 驚くほど甘い声をして、獣のような光を瞳に宿してる。 だめだ。 逃げられない。 そう頭で理解するより前に、体が動いていた。 .
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2992人が本棚に入れています
本棚に追加