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「や、だ……っ! 長瀬っ……!」
じたばたと抵抗する私の手足。
引きつった顔を自覚してはいたけど、それを取り繕う余裕もなかった。
それでも、そんな動きはすべて無駄だとでも言うかのように、長瀬は甘く囁く。
「こーら。暴れんな、って」
「やっ……!」
淡い吐息が耳元をくすぐって、ますます身を竦めてしまう。
そして私の力が緩んだ隙に、長瀬はいとも簡単に私の手足をまとめあげた。
その細腕のどこにそんな力があるのか、小一時間程問いつめたいくらいだ。
耳元から顔を上げた長瀬が、私の目を覗き込むように言う。
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