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「きっと美味しいヤツなんだろうけど……さすがにこのタイミングでストレートはないわよね……」
そう呟いたのは、私。
ちょっとこってりめの中華のおかずを含んだ口に、ウイスキーの余韻を味わう隙間は、恐らくない。
「まーな。ソーダとジンジャーエールがあって良かった」
「ウチになかったらどうするつもりだったのよ、全く」
溜息を吐きながら、ウイスキー瓶の隣に並んだそれらを眺める。
そう、私たちがいま飲んでいるのは、最近急に店でも出されるようになった、ハイボールだ。
ごくん、喉を鳴らしてそれを飲み込んだ長瀬が事も無げに言う。
「そりゃ、冷蔵庫の中に何が常備されてるか、だいたいならわかるからな」
「げっ……、それはそれで、気持ち悪いわ……」
「相変わらず失礼なヤツだな、お前は」
そう言いつつも、全く気にした様子のない長瀬が、箸を取って料理に手をつけ始めた。
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