不意打ち

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*** 放課後、いつものように教室の窓からグラウンドを眺めていた。 でも部活が始まって30分経ったのに、水島先生の姿が見えない。 どうしたんだろう。 なんて思いながら見ていると、 バタバタバタ……と廊下を走ってくる音が聴こえて、教室のドアがガラガラッと開いた。 「あれ? まだ残ってたんだ」 少し息を乱しながら入ってきたのはサッカー部のユニホームを着た長谷川くんで。 どうやら忘れ物を取りに来たらしい。 そのまままた窓の外へ視線を移すと長谷川くんが声をかけてきた。 「何見てんの?」 「えっ」 予想外の問いかけにどう答えたらいいのかわからず口を閉ざす。 だけどサッカー部を見ていた……ということを知られるのが恥ずかしくて 「長谷川くんってサッカー部だったんだ」 なんて、前から知っていたのに、今知ったような言い方で話してしまった。 そんなあたしに長谷川くんは 「失礼なやつ」 と言って、ふっ、と笑う。
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