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が、引っぱり出された側のユリナちゃんは、不満顔。
「ええ~? でも、知らない人ばっかり、ですよぉ?」
「知らない人でも! うっかりうちの会社のこと知られたらどうすんの!」
「大丈夫ですよぉ、ユリナたち、友達の会社の子ってことになってますから!」
「……」
どうしてこんなに自信を持てるんだろう。
絶対、根拠、ないよね。
私は大きな大きな溜息を吐いてから、ユリナちゃんに言った。
「……あのね、いまさら帰れない空気だから、今日は仕方ないとは思うけど。絶対に私たちが制作会社の人間だって、知られちゃダメ」
「……はあい……」
唇を尖らせているユリナちゃん。
まだ、わかってないかな。
私はわざと、ユリナちゃんと視線の高さを合わせて言う。
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