【第10話】約束と秘密の間

24/40
2974人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  「聞いてない!」 「あれぇ? 言いませんでしたっけ?」 「聞いてないよ! こんなの!」 そう言った私の視線の先には、和やかな男女数人の姿。 「どうもー」「こんばんはー」とか当たり障りない挨拶を交わしている。 そう、彼らは今日の“合コン”のメンバーだ。 さっき軽く会話を交わして知った、驚愕の事実。 男性側は、鳳凰堂の社員だという。 しかも、制作に近い営業職。 つまり、小野さんや神谷さんと同じ仕事をしている人たち、だ。 「まずいよね、これ! 取引先だなんて!」 相手のことを聞いた途端、血の気が引いた。 事情を聞こうと、私はさりげなく(したつもり)ユリナちゃんを引っぱり出したのだ。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!