【第10話】約束と秘密の間

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  『……俺には、権利なんて、ねーよな……』 呟いた言葉は、私の耳に届いてはいても、深く理解するには程遠い。 何のことを言っているんだろう、そんなことをぼんやり思うくらいしか出来なかった。 ただ長瀬にしがみついて嬌声をあげる私に、まともな思考を求める方が無茶だ。 『……お前は、お前の好きにしてりゃいーんだよ……。神谷さんと飲もうが、他に男作ろうが……』 一瞬、長瀬の眉間のシワが深くなった気がした。 何かに耐えているみたいな、そんな顔。 ぼうっとした視界の中浮かび上がるその切なげな表情に、胸に甘い痛みが走り、心が揺らされる。 .
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