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それより気になるのは、男女比だ。
こちらは五人なのに、男性は四人しかいない。
つまり、私の前の席が空席になっているのだ。
ある意味チャンス、と思い、ユリナちゃんに小声で聞いてみる。
「ねえ、私、帰ってもいいかな?」
「はぁっ!? 何言ってるんですか澪先輩!?」
「や、だって女一人溢れるでしょ。だったら私がいるとお邪魔かなー……なんて」
「ダメですそんなのっ! それに、男も五人だって言ってたし!」
ユリナちゃん、声が大きい!
注意しようと思った瞬間、テーブルの向こう側から声が飛んで来た。
「あっ、ごめんごめん、一人遅れて来るんだ。仕事、おしてるらしくてさ」
どうやら、興奮したユリナちゃんの声が聞こえてしまったらしい。
答えてくれたのは幹事の男性だった。
私は会釈をしながら慌ててフォローした。
「そうなんですか、すみません。失礼なことを」
「いやいや、俺が先に言えば良かったんだよねー、ごめんね!」
そう明るく言って、ポーズをとった。
失礼なことをしてしまったけれど、気分を悪くしたわけではないようだ。
ホッとながらも、ばつが悪くて私は苦笑いを浮かべた。
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