【第10話】約束と秘密の間

32/40

2974人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  会は和やかに進み、男側と女側、お互いの情報を探り合うような会話も飛び交っている。 私は立場上、つまらない顔も出来ないので、何となくそれに混ざっていた。 「えー、谷さんってフットサルやってるんですかぁ! すごーい!」 「そーだよ、コイツ顔に似合わず上手いんだよなー」 「顔に似合わずって何ですか、ひどいなぁ」 ユリナちゃんはさっき気に入っていた男性……谷さんと、ユリナちゃんの向かい側にいる幹事の松原さんとの会話を楽しんでいる。 私も、形式的には、その輪に入っている、と思う。 つまらないわけではないが、前のめりに楽しもう、という気合いがない私には、ほどほどの距離で会話に参加している……ような感じ、という、まさにいまの状況くらいがちょうど良かった。 男性側は、二十五歳から三十五歳くらいまで、年齢はバラバラだった。 部署内の、先輩後輩だという。 営業職らしく、全員が明るく話し上手で、どの組も会話は弾んでいるようだった。 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2974人が本棚に入れています
本棚に追加