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「遅れてすみませ……」
そこでようやく目が合って、瞬間、凍り付いた。
硬直、その言葉がこんなに似合う場面はないだろう。
神谷さんからも、驚きと動揺が伝わってくる。
何を言えばいいかわからないまま、私はとにかく口を開こうとした。
が、声が出る前に、松原さんに遮られる。
「神谷お疲れ! ビールでいい?」
「あ、ああ、頼むよ」
ハッとしたように松原さんに返事を返した神谷さん。
私は生きた心地がしないまま、その成り行きを見守った。
「今日カワイイ子ばっかで嬉しいだろー!?」
「え、ああ……そうだな」
「ほら澪ちゃん、こいつ神谷って言って、俺の同期なんだ!」
にっこり笑った松原さんに「は、はあ……」と気のない返事を返す。
と、反対に神谷さんは眉をひそめた。
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