【第10話】約束と秘密の間

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  「澪、ちゃん……?」 「そうそう! 羽村澪ちゃん! 真面目でカワイイ、澪ちゃん! なっ」 ちょっとだけからかいを含んだような声色だった、ような気もする。 私はまた引きつった笑みを浮かべながら会釈した。 神谷さんも何となく、会釈を返してくれた。 けれど私が気になっているのは、さっき神谷さんが一瞬見せた、険しい顔だった。 何とか落ち着こうと、目の前のグラスに口をつける。 目が合ってしまうのが怖くて、神谷さんの方を見れなかった。 隣のユリナちゃんもやっぱり、そわそわして俯いている。 私はテーブルの下で、ユリナちゃんの手をぽんぽん、とタップした。 根拠はないけれど、『大丈夫』……そう伝えるために。 神谷さんの飲み物が届いた途端、「みんな注目ー!」と松原さんが立ち上がる。 「ほら、お前も!」 そう言って、神谷さんにも立ち上がるよう促して。 肩を組んで、楽しげに言った。 .
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