【第10話】約束と秘密の間

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  ここで食って掛かっても、損をするのは私の方だ。 これまでの経験上、こうなって長瀬に勝てた試しがない。 私はぐっと拳を握りしめて、耐えた。 「……いつ帰るの?」 「ん? もーちょいしてから」 「……そう、じゃ、シャワーしてくる。帰るならカギかけてってね」 ぷい、と顔を背けてその場から離れた。 精一杯の、抵抗だった。 長瀬の存在を無視してシャワーの準備をする私の背中で、くすくす笑う声が聞こえた。 「りょーかい、羽村サン」 ……やっぱりこの男、殴ってやりたい。 その思いを何とか抑えて、浴室へと向かった。 .
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