【第10話】約束と秘密の間

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  「澪ちゃん、飲み物頼むけど、何かいる?」 「えっ」 不意に呼びかけてきたのは松原さんだった。 突然の名前呼びに目を丸くしていると、彼ははにかむように笑った。 「あ、ごめん、びっくりした? なーんか、名字にさん付けって、堅くてキライなんだよねー」 「いえ、あの、名前で呼ばれるなんて、あんまりないので……」 それに、『ちゃん』付けされるような年でも、もうない気がして。 ……という本音は、胸にしまった。 「そうなんだ? イヤだったらやめるけど?」 「あー……、っと。できれば、遠慮したいなーなんて……」 おずおずと伝えると、松原さんは何故か爆笑。 .
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