2366人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当に知らなかったんだね。相手が僕らだってこと」
「そりゃそうですよ。知ってたら行きませんし、ユリナちゃんのことも止めてます」
「ははは、さすが“真面目”な羽村さんだ」
昨日松原さんが言った台詞を繰り返す。
表情からすると、わざとだろう。
私は苦い顔をしてビールを飲み込み、呟いた。
「……それ、できれば忘れてください……」
「ははは! いやいや、かなり新鮮だったよ? “初対面”の羽村さんと話すのは」
「すみません……もう、何て言ったらいいか……」
面倒な、嘘の片棒を担がせてしまって。
そう思って縮こまる私に、神谷さんは上機嫌で笑った。
.
最初のコメントを投稿しよう!