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「何だ、決断力のない奴だな。」
兵藤の言葉に、もう溜息しか出ない。
「兵藤の女装姿なんて見たって萎えるだけだ。それならお前の姉ちゃんの友達でも知り合いでも呼んでコンパしようぜ。」
お前もいい思い出来るしな、と付け加えると兵藤は目を眇めて俺をジッと見上げた。
「…分かった。」
また何か言い返してくるかと身構えた俺に、兵藤はそれだけ口にするとあっさり踵を返して足早に歩き出す。
さっきまでのあのしつこさは何だったんだ。呆気に取られた俺は廊下を曲がり兵藤の姿が見えなくなるまでボンヤリと彼を見送った。
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