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兵藤はツンと顔を背けると俺に背を向けた。
「いやいや、それは罰ゲームなんだったら必要だろ。」
俺の言葉に兵藤はチラリと振り返ると吐き捨てる様に言う。
「でも、困っていないんなら良いだろう。今日、姉さんから呼ばれたんだけれど坂下はコンパだと伝えておく。」
「え、何だよ、オネーさんに呼ばれたって。」
慌てて食らい付いた俺に虫けらを見るみたいな目つきで兵藤がこちらを見据えてフンと鼻で笑う。
「別に。じゃあ楽しんで来てくれ。」
「おい待てよ、兵藤!」
兵藤はツンケンしながらそのまま元来た廊下を戻って行く。部活の後に出掛けるつもりなのだろう。今更コンパには行かないと言うのも負けた気がするし、頭を下げてまで付いて行く程行きたい訳でもないけれど、兵藤がヘソを曲げると面倒臭そうだ。
後で電話でもしておくか。
別にツレでもないし、仲良くなりたい訳でもないけれど何だか放っておけない孤独な背中を見つめながら俺は頭を掻いた。
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