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近付いて来る人物は一度会ったことのある兵藤の姉ちゃんだ。化粧をして可愛らしい格好をしてニコニコしながら俺の目の前までやって来る。
そして、一言こう言った。
「将爾、引き取ってくれない?」
は?っと眉を顰める俺に兵藤の姉ちゃんは顔の前に両手を重ね合わせてお願いのポーズをとる。
「今日はサークルの飲み会に将爾を呼んだんだけど、お酒飲まされちゃって。酔って気分悪くなっちゃんたんだけど、このままだと家に連れて帰れないからお友達の家に泊めて貰えないかな?」
「…何で」
俺がまともに喋られない事を良い事に姉ちゃんは矢継ぎ早に言う。
「将爾が家に友達連れてくるの初めてだったし、あんなに楽しそうなのも珍しいからきっと凄く気を許していると思うの。本当は今日お友達君も一緒に来るはずだったんだよね?そりゃ楽しみにしていたから、来られなくなって寂しかったんだと思うの。だから、泊めるのが難しかったら一、二時間で良いから付き合ってくれない?」
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