第4話

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まだまだ話しそうな兵藤とは正反対にお喋りな姉ちゃんに俺はペットボトルのお茶で口の中のにぎりを腹に流し込んで、片手を上げて制した。 「分かった、分かったから兵藤は?」 「そこ。」 振り返り指差した先には男に肩を借りてフラフラと歩く兵藤の姿。 確かにいつもと違って精彩を欠いた様子で、俺の事も視界に入っていないようだ。 「あいつが俺んち行きたいって?」 「うん、きっと。」 噛み合っていない会話に、大きな溜息を吐いて立ち上がった俺を兵藤の姉ちゃんの目が追ってくる。 仕方なく、兵藤の方に近寄ると目の前の人影に気が付いた兵藤が頭をゆっくりと上げて俺を見た。
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