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ボンヤリとした視線が俺を捉えて認識し、坂下、と呟いたその瞬間。
兵藤は本当に嬉しそうに小さく笑った。
初めて見る無邪気な笑顔に俺の心臓が跳ねる。
「何で坂下がいるの?」
「道場の帰り。」
「そうなんだ。」
思わずコンパと言い忘れて本当の事を言ったけれど、酔った兵藤は気付かず素直に頷く。
「俺と一緒に来るか?」
「うん。」
いつもじゃ考えられない程素直な兵藤はこくんと頷くと肩を借りていた男に礼を言うと俺の方に倒れ込んで来る。
「本当にゴメンね、坂下クン。」
「良いっすよ。」
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