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「えっ、ちょっと……」
「これだけ酒があったら買い足す必要ねーだろ」
「はっ? ちょ、ちょっと長瀬!?」
奪われたままの私の右手は、長瀬の左手にがっちり掴まれている。
そのまま長瀬が歩き出すもんだから、自然と私もそれについていく形になってしまう。
「ちょ、長瀬ってば!」
「んー?」
「何よそれ! だいたい、アンタの用って…」
そこまで言うと、長瀬は立ち止まって振り返った。
途端、にっこり笑って、掴んだ手を指先でするり、撫でる。
不本意にもぞくっと駆け上がる何かを感じた私の反応を楽しげに見てから、言った。
「一緒に食おーぜ、飯」
こうなったオレサマに私なんかが敵う訳がなく。
私はそのまま、手を引かれて自宅へと戻る羽目になってしまった。
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