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我慢できずにビールを飲み干し、早々に切り替えた日本酒は、すでに残りわずか。
美味しくできた鍋を食べながらも、ぼんやりと私は呟いた。
「……なんでここに、長瀬がいるのかなぁ……?」
「は? 何言ってんだ、今更」
「いや、だってさぁ……」
あまりに馴染まれると、ふとした瞬間に、すごく嫌な気分になるんだ。
考えたくなくて箱に仕舞って奥へと閉じ込めた、あの面倒な問題の蓋が、そっと開いていくような。
うーん、と考え込む私に、長瀬は笑った。
「つーかさ、この部屋、居心地いいんだよ。こーやって飲むの、楽しくないか?」
そんな風に思ってたんだ、長瀬は。
私は少し考えて、返事を返す。
「……楽しい、けど」
「けど、って何だよ。いいじゃねーか、楽しいならそれで」
「……そー、なの、かなぁ……?」
うーん、と首を捻った私に、長瀬が呆れ顔で言う。
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