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「お前、マジで面白れーな」
くっくっ、と肩を震わせて笑う長瀬から解放された私は、ふうっと息を吐き出した。
「はー、良かった、助かった! でも、何となく助けてくれそうな気がしてた!」
「あ?」
不機嫌そうな声が聞こえたけれど、しれっと流して。
わたしの知っている、長瀬の変化を突き付けてやろうと言葉を続けた。
「だってそういうコトしようとするとき、長瀬はねー……」
ふふん、と得意げに、長瀬に指を向けた。
にやり。いつも長瀬がやるみたいに、笑ってみせる。
「目が、ね。変わる」
「目?」
眉を寄せた長瀬に、私は嫌な笑みを浮かべてみせた。
そう、助かった解放感のせいか、うっかり口を滑らせてしまったのだ。
言わなくても良いことだったと気づくのは三分後のこと。
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