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「そう、目。……なんか、喰われそう、っていうか……ぞくぞくする、みたいな? さっきは、違ったもん」
どうだ、とばかりに言い切った私に、長瀬は髪をわしわしとかき乱した。
「……お前、なぁ」
少し弱ったような声色に、私はにこにこしながらお酒を手にした。
ああ、勝利の美酒って、旨い。
初めて長瀬をやり込めることができた喜びに浸れたのは、わずか一分くらいのものだろう。
私の手から素早くお猪口を奪った長瀬は、そのまま私をソファに押し付けた。
「ちょっ……何!?」
「その顔、誘ってんの?」
「は!? 何言って……」
何言ってるの、馬鹿じゃない?
その言葉は半分、長瀬の唇に飲み込まれていった。
深いキスに、酸素が足りなくなりそう。
私はクラクラしながらも、これはお酒のせいなんだとすり替えるよう努力した。
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