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……どうやら私は、そのまま眠ってしまったらしい。
私の意識を引き戻したのは、緩やかに私の頭を撫でる感触だった。
そっと、壊れ物でも扱うかのような触れ方。
その心地良さに、またうとうとと眠気の波に流されそうになるくらいだ。
……のど、かわいた。
重い瞼を持ち上げて、ぼんやりとした視界の中に映るのは、長瀬の顔。
その表情が、何だかとても、やさしい。
「……起きたか?」
「ん……」
微かに頷くと、長瀬は私の前髪を軽く払って、唇を付けた。
それがちょっとくすぐったくて、私は小さく身をよじる。
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