【第12話】オレサマと、休日

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  「でも、もったいねーな」 「へ?」 「お前の元カレ。損してる」 「なにが……」 長瀬の体温を感じながらの問答は、苦手だ。 心底嫌だと思えたらもっと楽なのに、心のどこかで悪くないと思っている私がいるから、タチが悪い。 長瀬はするり、私の髪を撫でると、呟いた。 「こんなに綺麗で気持ちいいのに。お前の髪」 「っ……」 そういう不意打ち、止めて欲しい。 私の頭に、髪に、触れる長瀬。 どこか楽しそうで、強く止めて欲しいとは言えなくなってしまった。 お互いの呼吸と心臓の音しか聞こえない部屋で、私の髪だけがはらりと揺れる。 気を抜くとまた、眠ってしまいそうな程……それは魅惑的だった。 頭を撫でるのに上手い下手があるなんて知らなかった。 知らないままでも、良かったのに。 .
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