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「絶ッ対に、嫌」
この一言では収まらず、私は心から嫌だという気持ちを顔にも出しながら続けた。
「ホントに嫌。本気で嫌。……あーもう、面倒くさいなぁ。早く帰ってよ、酔っ払い」
しっしっ、追い払うようなジェスチャーも付けてやる。
あからさまかつ強い拒否を見せつけたというのに、長瀬は楽しそうに笑っていた。
「はははっ! あー、ホント、マジで面白れーなぁ」
「全然面白くないわよ、話聞いてた?」
心底愉快だとでも言うかのような笑い方に、私の眉間はさらに深くシワを刻んだ。
やばい、このままじゃこのシワ、定着してしまう。
そんなよくわからない心配をしてしまう程に。
ようやく笑い終えた長瀬が目尻に滲んだ涙を拭いながら、言った。
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