2599人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「はー、もう、最高。俺、女にこんな風に拒否られたの、初めて」
「……それはそれは。素晴らしいご自慢ですこと」
……何様だよ、本当に。
そんな風に思っていたら、今度は頬まで引きつった。
私の顔の筋肉、長瀬のせいでつるんじゃないかな。
酔った長瀬は朗らかになる、それは知ってる。
けれど今日は一段と、ご機嫌のようだ。
私は溜息を隠しもせず、すでに残り半分を切っているボトルのワインを自分のグラスに注いだ。
「なー、羽村ー」
「何よ?」
「一緒に暮らそーぜー」
「嫌だっつってんでしょ、酔っ払い」
ぴしゃり、答えると長瀬はますます楽しそうに笑う。
何がそんなに面白いのか、理解に苦しむくらいだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!