【第12話】オレサマと、休日

8/34

2599人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
  「うるせーな。通りがかったんだよ、偶然」 「え、でも長瀬の家ならこっちの方向に用なんて……」 「この酒屋」 長瀬は顎で私がいま出て来たばかりの酒屋を指した。 「お前んち行くときに見つけて、何回か来てんだよ。意外に珍しい酒が揃ってるからな」 「そー、なんだ……」 そんなこと、全然知らなかった。 私もよく通っているから、会っても良さそうなもんなんだけど。 「確かに、ここって品揃えがなかなか良いんだよね」 「ああ。地酒が並んでるコーナー行って驚いた」 「ワインもけっこう揃ってるよ。あと、焼酎も」 「すげーな。経営者も酒飲みなんだろーな」 「そーだね、間違いなく」 見たことのない経営者の姿を想像して、くすくす笑う。 そこで私は、はた、と気がついた。 .
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2599人が本棚に入れています
本棚に追加