321人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
【美優Side】
あれから一ヶ月半。
夏休みが終わり九月になっても、空翔も海翔も帰国しなかった。
勿論電話もメールも、手紙だってこない。
空翔も海翔もロスに行った途端、あたしのことなんて忘れてしまったんだ。
「海翔の…ばか」
やっぱり海翔は、嘘つき悪魔だよ。
◇
――二人がロスに渡り、一年八ヶ月が経過。季節は春。
あたしは高校受験を終え、見事国見高校に合格し、桜が満開に咲き誇る四月、高校生になった。
美希も去年鈴蘭女学院中学に進学した。空翔の愛で合格出来たと、美希は今でもそう信じている。
本当におめでたい妹だ。
一年八ヶ月も音沙汰がないのに、愛も恋もない。
パパに『結婚は一年待て』とおあづけをくらった高見さんは、何度も結婚の申し込みに来ているが、パパは『仕事が忙しい』と多忙を理由に高見さんに会おうとしない。
最初のコメントを投稿しよう！