高2の私と隣のオオカミ

4/13
前へ
/175ページ
次へ
何度か聞いてみたことがある。 「司狼さん、私のこと好き?」 って。 そしたらいつも 「さぁ、どうかな?」 って意地悪な顔して笑ってばかり。 からかわれてるのはわかるんだけど、たまにはちゃんと言ってほしい。 「…これって欲張り?逸花ちゃん」 教室の隅で窓枠にもたれかかってうなだれる私の背中をなでながら逸花ちゃんは 「…良太さんと足して2で割るとちょうどいいのかもしれないわね」 って困った顔をして笑った。 逸花ちゃん…去年私と津田君に片思いをしていてその相手は良太センパイだと教えてくれていたんだけど。 「二人に謝ることがあるの。私…良太さんと中学3年のころから…付き合ってる…」 「そうなんだ、だますようなことしててごめん。圭吾も…ごめんな?妹に感づかれるとさぁ」 部活帰りにファストフードショップに連れていかれた私と津田君はこの二人のカミングアウトに口が開きっぱなしで瞬きも忘れて固まったっけ。 「…いいなぁ。逸花ちゃんとセンパイってさぁ隠れて付き合ってるとはいえ、ラブラブなんやもん。」 「なんだよ、宇佐美だって司狼さんっていう優し…くはなさそうだけどかっこいい彼氏いるじゃん。独り身の俺には二人の話は厳しいわぁ」 ひょっこり現れた津田君は私の横で私と同じようにうなだれた。
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

850人が本棚に入れています
本棚に追加