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「ねぇねぇ。君ってさっきの子と双子なの?めっちゃ似てるなと思って。」
目が見えないが為に周りの喧騒に耳を澄ましていたところ後ろから声かけられた。
少しハスキーな男の声。
「そうですけど、何か?」
後ろを見ても何も見えないことが分かってるから相手の方を見る気もなく前を向いたまま答える。
正直男はあまり好きではない。
私と美桜が手を繋ぐ意味も知らずそれを馬鹿にする。
無愛想な私の態度に去っていくだろうと思ったけど彼は会話を続けていく。
「へぇ。仲良いんだな。俺も双子の兄がいんだけどさっぱりでさ。でもまぁ結局おんなじ高校通うんだけどな。」
私の前の席に移動するとペラペラ語りだした。
「ふーん。同じ双子がいる同士だから話しかけてきたんだ。なかなかいないから珍しいんでしょ?」
「別にそういうわけじゃないけどな。でもまぁ双子を見つけると嬉しくなるのは確かだよな。双子って一緒に見られがちだけど、やっぱり違うってこと分かりあえるのって双子のやつしかいないし。」
「そう。」
「おう。名前も似たような名前になるから覚えて貰えなくなるしな。あ、俺俊哉(トシヤ)。中江俊哉。片割れは彬(アキラ)ってんだ。」
思い出したように名乗りだした彼に失笑した。
笑うつもりなんてなかったのに。
「名前が似るって全然ちがうじゃん。」
「まぁ、細かいことは気にすんなって。で、名前は?」
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